日本消費者協会が行っている「葬儀についてのアンケート調査」によると、最近のお葬式にかかる費用の合計は平均200万円前後となっています。
この金額だけを聞いてしまうと「お葬式の費用は高い!」と驚く人のほうが多いはずです。
そして多くの人が「どうすればお葬式の費用を安く済ませることができるか?」と考えるはずです。
では一体どうすればお葬式の費用を少しでも安く済ませることができるのでしょうか?
今回はお葬式費用についての考え方をわかりやすく解説したうえで、お葬式費用を安く済ませる方法を紹介していきます。
お葬式の費用が平均200万円というのはあくまでも目安
お葬式のためにかかる費用の合計が平均200万円というのは、あくまでも「一般的なお葬式」を例に挙げています。
確かに日本消費者協会が行っているアンケート調査からみると、平成19年時点での葬儀費用合計の平均は231万円でした。
その後平成22年では199.9万円、平成25年では188.9万円ですから、年々減少傾向にあることが分かります。
ですがここで注意しておきたいのは、あくまでもこの数字は目安にしかならないということです。
お葬式の費用は規模によって変わる
お葬式にかかる費用で大きなウェイトを占めるのは、「飲食維持費」「寺院への支払い」「葬儀一式費用」の3つです。
飲食維持費と葬儀一式費用は、お葬式の規模によって変わります。
特に飲食維持費は、通夜ぶるまいや火葬場での食事、葬儀後の会食など弔問客に対する接待費と位置付けられます。
なにしろ弔問に訪れる人は、忙しい合間にわざわざ時間を作って足を運んでもらうわけです。
ですからいらっしゃるお客様に対しておもてなしをするということは、施主側のマナーになります。
ただしお葬式は地域の風習が大きく関係します。
そのためお葬式に関する飲食維持費も、地域によって違いがあります。
地域によっては一般的なお葬式であってもアルコールを伴う飲食は準備せず茶菓子程度で済ませることもありますし、通夜ぶるまいそのものがない地域もあります。
いずれにしても飲食維持費を計算するには、お葬式に呼ぶ人の人数が関係してきます。
お葬式に呼ぶ人の範囲を広くすれば、その分弔問客の人数が増えます。
ちなみにお葬式の飲食維持費の計算は「弔問客の人数×食事代+飲み物代」となりますが、この計算方法そのものは結婚式の披露宴と同じです。
ただしお葬式は結婚式のように事前に出欠確認をすることができないため、どうしても人数を予測することが難しいです。
さらに「足りないよりは少し多めに」という心理が働きますから、予想をしていた人数よりも大幅に弔問客が少ないと余分な手出しとなってしまいます。
これは葬儀一式費用とも深く関係します。
葬儀一式費用には、式場用の祭壇も含まれます。
最近では地方でも、自宅ではなく葬儀専用ホールでお葬式をすることが増えています。
葬儀専用ホールの場合、収容人数に合わせて式場を選びます。
式場を選ぶと自動的に祭壇のランクが決まってきます。
祭壇のランクが上がると、式場にかかる費用だけでなく式を運営するために必要となるスタッフの人数も増えます。
そのため葬儀の規模が大きくなるほど、葬儀一式費用も高くなります。
現在のお葬式はスタイルにも種類がある
一昔前までは、お葬式といえば遺族・親族だけでなく故人や故人にかかわる人の交友関係者らが皆お葬式に参列するのが一般的でした。
ですから遺族や親族が多いほど、お葬式の規模は大きくお葬式の費用も高額になりました。
ところがこうしたお葬式のスタイルには、1つ大きなデメリットがあります。
それは「故人と直接接点がない人もお葬式にくる」という点です。
弔問客が増えれば、遺族はその対応に追われます。
限られた時間の中で故人との別れをしなければいけないのに、偲ぶどころか家族なのにゆっくりと顔を見る時間さえもなくなります。
そのため「接待だけで時間が過ぎ、気が付いたらお葬式が終わっていた」という経験をした人も多くいます。
こうした経験を持つ人たちが「自分たちのお葬式はできるだけ小規模でやりたい」と思うようになり、少しずつ自分たちらしいお葬式のスタイルを模索する風潮が生まれました。
さらに家族の規模や親族との付き合い方も時代とともに変化していき、小規模なお葬式に対するニーズが高まりました。
これが現在お葬式の主流となっている「家族葬」というお葬式のスタイルが出来上がった背景にあります。
実は現在では家族葬のほかにも、さらにシンプルなお葬式のスタイルがあります。
例えばお通夜を行わず1日ですべてのお葬式を済ませる「1日葬」の場合、葬儀に関する儀式は1日ですべて終わらせることができます。
お葬式に参加する人も家族や近い親族が中心となりますので、精神的にも疲労の少ないお葬式のスタイルといえます。
もっとシンプルにしたいというのであれば、直葬(火葬)というスタイルもあります。
生活保護を受けている場合の葬儀などがこれに当たります。
通夜・告別式は一切行わず、火葬場の炉前で簡単なお別れ式や僧侶の読経をします。
この場合は確かに費用は抑えられますが、一般的に考えるお葬式のイメージとは大きく異なります。
このように費用を抑えるだけが目的であれば、極力無駄をカットするという方法も今のお葬式のスタイルにはあります。
ただしどのようなお葬式をしたいのかということを考えたとき、必ずしもこのようなシンプルなお葬式が良いとは言い切れません。
お葬式に人を呼ばない=自己負担が増える
お葬式に人を呼べば、その分費用は増えます。
「人数が多い」ということは「規模が大きい」ということですから、必然的に収容人数の多い式場を準備する必要が出てきます。
式場の大きさが変われば、祭壇の大きさも変わります。
そう考えれば「お葬式に呼ぶ人の数を少なくすれば、その分費用は安くなる」という結論が出ます。
確かにその考え方は間違いではありません。
ただし「家族の自己負担額」に注目してみると違った見方もできます。
お葬式に参加する以上、弔問客は香典を準備します。
いただいた香典の半額程度はお礼品でお返しするのがマナーですが、言い換えればいただくお香典の半分は葬儀費用の一部に充当することができます。
ですからお葬式の規模が大きくなればお葬式の費用も高くなりますが、その分香典で賄うことができる費用も増えます。
ところがお葬式の規模が小さくなると、香典で賄うことができる費用の割合が下がります。
そのためお葬式の費用の合計は安くなるのですが、家族や親族の自己負担額は増えてしまいます。
家族葬で遺族の負担をかけずに豪華な花祭壇にする裏技
家族葬というお葬式のスタイルの定義はないのですが、「家族だけで行うお葬式」という意味ではありません。
おおむね20名前後の家族・親族を中心にした小規模なお葬式のことを、現在では家族葬としています。
このようなお葬式の場合、祭壇に飾る花の量を増やすとどうしても家族の自己負担額が増えてしまいます。
でも家族の自己負担額を増やさずに豪華な花祭壇を作る方法があります。
それが「供花充当システム」です。
近い親族であれば、香典以外に供花を準備しますよね?
この供花料金を花祭壇の料金に充当し、ワンランク上の花祭壇に仕上げるのが「供花充当システム」です。
もちろんこの場合でも葬儀社に相談すれば、供花の注文をした人の名札を祭壇とは別に式場内で掲示してもらうこともできます。
こうすれば供花を出していることも周囲に伝えることもできるうえに、遺族に負担をかけることもありません。
そのうえでワンランク上の花祭壇を準備することができるというわけです。
まとめ
お葬式の費用を少しでも安く済ませるために規模を小さくするということは、実際には家族の自己負担が増えるだけということもあります。
また小規模なお葬式であったとしても、家族への負担をかけずにワンランク上の演出をすることもできます。
お葬式にかかる平均費用は、あくまでもただの目安です。
工夫次第ではお金をかけずに豪華な演出ができることもたくさんあります。
逆に費用を節約するために誰にも知らせずにお葬式を済ませてしまうと、後から訃報を知った関係者が自宅を弔問し、その対応に追われて逆に負担になってしまうこともあります。