結婚すれば自分の親族だけでなく嫁ぎ先の親族の冠婚葬祭に参加する機会も増えます。
ただ「親族」ではなく「義父母」のお葬式となれば、嫁としての立場もあり悩むことも増えます。
そこで嫁として義父母のお葬式に参列する前にこれだけは知っておきたい「嫁の心得」をポイントごとに解説します。
義父母のお葬式までの流れで嫁が注意すべきポイントは!?
お葬式となる前には「臨終の立ち合い」があります。
危篤の連絡を受けてから最期を看取るとあっという間に次から次へと物事が進んできます。
・危篤の連絡を受けたら「誰よりも冷静でいる」を心がけて!
危篤の連絡を受けると、血のつながりの有無にかかわらず誰もが大なり小なり動揺します。
でも危篤の連絡を受けたからには、とにかく早く駆けつけることが大事です。
ただし危篤の電話連絡を受けた時は、現場に駆け付ける前に必ず確認しておかなければいけないことがあります。
確認することは2つです。
1つは「どこにいるのか」です。
病院で治療を受けている場合は「どこの病院・どこの病室なのか」を確認します。
自宅で在宅治療を受けている場合は「自宅の住所」を確認します。
2つ目は「状況を確認できる親族の電話番号」です。
親族が病院または自宅にすでに到着しているのであれば、その人の連絡先を確認します。
誰も現場にいない場合は、緊急時に連絡が取れる人の電話番号を控えます。
この2つを確認したら、出来るだけ早く指定された場所に駆けつけるようにしましょう。
・臨終を迎えた場所や状況によってその後の流れは違う
臨終を迎えた後の流れの基本は「葬儀社の依頼」「遺体の引き取り」「安置」となります。
ただし死亡した場所や状況によって、流れに違いが出てきます。
★病院またはその他の施設で死亡した場合
病院などの施設で死亡した場合、「臨終」「葬儀社の依頼」「遺体の引き取り」「安置」となります。
葬儀社の決定・依頼は基本的に血縁者によって行われます。
葬儀社に依頼をすると、葬儀社が遺体を安置先まで移動させるための搬送車を手配します。
その間に病院(またはその他施設)ではエンゼルケア(死後の処置)が行われます。
エンゼルケアを行っている間に、死亡を確認した医師によって死亡診断書が発行されます。
死亡診断書は死亡届の片面に記入されます。
死亡診断書は葬儀社との打ち合わせの際に必要になりますので、なくさない様に保管します。
★自宅で死亡した場合
在宅治療を受けていた場合は状態に変化が見られた時点で担当医に連絡をしますが、担当医が到着する前に息を引き取ったとしても慌てずにそのまま到着を待ちます。
到着した担当医が死亡を確認したのち、死亡診断書を作成します。
死亡診断書を作成している間に、看護師とともにエンゼルケア(死後の処置)を行います。
エンゼルケアがすべて終わったら、葬儀社の決定・依頼をします。
自宅でそのまま安置する場合は、葬儀社に依頼の電話をする時点でその旨を伝えます。
★突然死していることに気が付いた場合
自宅で突然死しているのを発見した場合は、「明らかに死亡しているのが確認できる場合」と「死亡の確認が難しい場合」で連絡先が変わります。
基本的には救急車の手配をするのですが、明らかに死亡しているのが確認できる場合は所轄の警察署に連絡をします。
警察署に連絡した場合は、「警察署へ遺体の搬送」「遺体の検案」「死体検案書の作成」「遺体の引き取り」「安置」となります。
(※地域によっては、死亡現場で遺体の検案・死体検案書の作成が行われることもあります)遺体の検案で死因がわからない場合は、遺体を解剖する場合もあります。
警察署に遺体が搬送されると、遺体の引き取り時間を指定されます。
それまでは自宅などで待機することになります。
また警察署から安置先へ遺体を移動する際には専用の搬送車が必要になります。
そのため警察署への遺体引き取りまでに葬儀社の決定・依頼を行います。
・葬儀社選びにはかかわらないこと
臨終直後のご主人やその家族は動揺も大きいです。
でもいくら動揺をしていても、死後の処置をしている間には葬儀社を決定・依頼をしなければいけません。
この時のあなたは、嫁という立場にあるので葬儀社選びにはかかわらないようにするのがポイントです。
葬儀社の数は本当に数多くあります。
もちろん葬儀社によってサービス内容や価格などに違いがあります。
ただここで分かっておかなければいけないのは「あなたが嫁である」ということです。
お葬式はどんなにいろいろなことをしたとしても、家族は「あの時こうすればよかった」「もっと○○をしてあげればよかった」と葬儀後に必ず後悔します。
その時に「あの葬儀社を選ばなければもっといい葬儀が出来たかもしれない」という後悔が出たとしましょう。
こうなった場合に葬儀社選びにあなたがかかわったりアドバイスしたとなれば、葬儀社への不満の矛先が突如嫁であるあなたの方に向いてきます。
もちろん最終決定をしたのはあなたではなかったとしても、何かのせいにすることによって心の苦しさから解放されたいと思うのが家族の本音です。
ですから要らぬおせっかいをいてしまったばかりにあとからあなた自身が嫌な想いをしなくて済むように、葬儀社選びについてはノータッチで通すようにしましょう。
義父母のお通夜までの流れで嫁が注意すべきポイントは!?
・葬儀社との打ち合わせでは「つかず離れず」
葬儀社との打ち合わせで行うのは、「葬儀の日程」「お葬式のスタイル」「葬儀の規模」「サービス内容」を決めます。
この中で嫁として確認しなければいけないのは、「葬儀の日程」と「葬儀の規模」です。
この2つは訃報連絡の際に必要になります。
嫁である以上、あなた側の親族にも訃報の連絡をしなければいけません。
その時に何も決まっていない状態で訃報のみを電話で連絡しても、連絡を受けた方はどのように対応すればよいのかわからないため余計な混乱を招きます。
また最近は「家族葬」といって、家族を含むごく限られた人だけで行うお葬式のスタイルが主流になりつつあります。
この場合、親族であってもお葬式に呼ばないこともあります。
しかもお葬式に呼ぶ範囲を決めるのは、あくまでもご主人側の家族です。
ですから訃報連絡をするにしても「葬儀の日程」と「葬儀の規模(どの範囲までを親族として呼ぶのか)」が決まった時点で行うようにします。
・無関心を装わないこと
お葬式における「つかず離れず」はとても難しいものです。
とはいえ嫁である以上、葬儀の内容を決める席に積極的に参加するのはあまり望ましくありません。
(もちろん同席またはアドバイスを求められた場合は除きます)
ただし無関心ととられるような行動は、家族・親族から誤解を招きます。
誤解を避けるためには、まずは何かを手伝うようにしましょう。
例えば台所仕事があるのならそちらを手伝うようにします。
セレモニーホールなど自宅以外の場所に安置する場合は台所仕事はありませんから、その場合はご主人の家族の代わりに線香の番(線香を絶やさないようにする)をするのも一つの方法です。
いずれにしても「無関心ではない」ということをそれとなくアピールするように行動するようにするのがポイントです。
・訃報連絡は簡潔・正確を心がけて
訃報連絡の代理を頼まれたら、嫌がらずに積極的に手伝うようにします。
この時のポイントは「簡潔かつ正確に」です。
訃報連絡では必要以上のことを伝える必要はありません。
連絡を受けた人も、訃報連絡の電話口で死因などを聞いてくることはありません。
(これは訃報連絡を受けた側のマナーです)
ですから落ち着いて伝えるべきことを正確に伝えればよいのです。
訃報連絡で伝えなければいけないことは「誰が亡くなったのか」「葬儀の日程」「葬儀会場」の3つです。
・通夜式では喪服を着用、ただしエプロン持参
嫁は親族になりますので、通夜式では喪服を着用します。
ただし表に出て挨拶をするのはあくまでのご主人側のきょうだい・家族になりますので、裏方役に徹するのが嫁の役割です。
特に通夜ふるまい(会食)がある場合は、湯茶接待や台所仕事は女性の仕事です。
率先して手伝いが出来るようにエプロンを持参するようにします。
何をすればわからない場合は「お手伝いができることはありませんか?」と声をかけるようにすれば問題ありません。
・身支度はきちんと!
嫁として義父母のお葬式に参列する以上、身支度はきちんと整えるようにするのは最低限のマナーです。
喪服は準喪服または略礼服でも構いませんが、肌の露出があるものはNGです。
ストッキングは黒となりますが、タイツはNGです。
また化粧は薄めのナチュラルメイクにします。
髪が長い場合は、後ろにまとめるようにします。
お団子ヘアにする場合は、まとめる髪の高さを耳の位置より下にします。
アクセサリーは基本的にNGと思ってください。
パール製のアクセサリーに関しては例外として認められていますが、ネックレスの場合は一連、イヤリング(ピアス)は一粒パールと決まっています。
判断が難しい場合は「つけない」が無難です。
ただし結婚指輪は例外として認められています。
お通夜・葬儀式・告別式で嫁が注意したいポイントは!?
お通夜・葬儀式・告別式にはそれぞれ意味があります。
まずお通夜。
お通夜は故人と過ごす最後の夜を言います。
ですから通夜式の後に会食の席を設けることもあります。
この時の接客を担当するのは嫁の役割です。
動きやすい服装を心がけ、参列してくださった方々へのおもてなしに徹するようにします。
翌日に行われる葬儀式と告別式はそれぞれ意味が異なります。
葬儀式と告別式の違いを結婚式に置き換えると、「葬儀式=挙式」「告別式=披露宴」となります。
ですから葬儀式は宗教者による儀式がメインとなり、告別式は一般会葬者のお別れの儀式がメインとなります。
どちらも大切なセレモニーですので、遺族としての参列が望まれます。
・係を頼まれたら快く引き受けること
最近主流になっている家族葬では遺族側でお葬式に呼ぶ人の範囲を決めることが出来るため、係を頼むことが出来る親族がいない場合もあります。
特にお香典を管理する「受付係」と弔問客にお礼品を渡す「返礼品係」は親族が担当するのが一般的です。
そのため親族が少ない場合はお嫁さんであるあなたがお願いされることもあります。
この場合は快く引き受けるようにしましょう。
まとめ
義父母のお葬式に参列する場合の嫁ポイントは、「落ち着いて依頼されたことを確実にこなしていくこと」が大事です。
慌ただしいスケジュールになりますが、お嫁さんのあなたが冷静でいることは、何よりもあなたのご主人が安心します。