葬儀の現場で思わずびっくりした出来事を現役スタッフが語ります!

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お葬式のスタイルも最近はいろいろなスタイルがあります。

そこには「お葬式にも個性を」という人が増えてきたということも理由にあるのかもしれません。

でもお葬式という現場は「非日常な時間」でもあります。

だから思わぬハプニングもたくさん起こります。

現場に立っていても「うそでしょ?」と思わずつぶやいてしまうこともあります。

今回はお葬式の現場で実際にみた「葬儀スタッフが思わずびっくりした出来事」を3つ紹介します。

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愛する妻に超長いキス

納棺の現場でのことです。亡くなったのは40代の女性で、旦那さんと中学生から高校生までの子供3人がいる家族でした。

闘病生活が長かったそうなので、まだ40代での死ではありましたが家族にはある程度の覚悟が出来ていたようです。

そのこともあって悲しみは伝わってくるものの、比較的精神的に落ち着いている家族だという印象を持っていました。

 

お気に入りだったというワンピースに着せ替え抗がん剤のために抜けてしまった髪の代わりにウィッグをつけると、病気になる前に撮ったという遺影写真と同じ雰囲気になりました。

その後布団で寝ている姿でのお別れを済ませ、家族全員で納棺しました。

そこまでは家族の間に特別変わったことはなかったのです。

 

ところが棺に入った彼女の顔を見ていた喪主の旦那さんのテンションが、突然変わります。

しかもそれまで無口だったはずの旦那さんがマシンガントークで話しかけてきます。

「葬儀屋さん!こんなにキレイな人、見たことないでしょ?」

「ほら皆も見てごらん!お母さんは昔からとっても美人だったんだから!」

「ねえ葬儀屋さん、うちのかみさん美人だよね?」

 

お葬式ですから突然感情が思わぬ方向に動いてしまうことはよくあることです。

ただどちらかというと悲しみの感情を爆発させる人や怒りの感情を表に出す人の方が多いので、この時のように突然明るくなる人はあまり多くはいません。

その場にいる子供たちも、突然父親の様子が変わってしまったことに困惑していました。

 

ただ彼の暴走はさらにエスカレートします。

「葬儀屋さん、こんなにキレイなんだから写真を撮ってもいいよね?」

もちろん「大丈夫ですよ、撮ってあげてください」と答えた私。

すぐに彼は一眼レフカメラを持ってきていろいろな角度で彼女の写真を撮り始めます。

 

そのうち「お前たちもお母さんと一緒に写真を撮ろう」と言い出し、未だに困惑気味の子供たちを無理やり棺の周りに集め「みんな笑って!」と明るい声で写真を撮りまくります。

最終的には「葬儀屋さん、撮ってくれる?」といってカメラを手渡し、自分も写真の中に納まっていました。

 

でもひたすら写真を撮りまくったことでようやく何か落ち着いたのか、彼のマシンガントークも激しいシャッター音もピタリと止まります。

子供たちもそのことに少し安心して棺から離れ、父親の様子を見守るように座りました。

でも彼は棺の真横からなかなか離れません。

 

そして次の瞬間、彼は棺に覆いかぶさるようにして彼女に長いキスをしました。

さすがにキスシーンそのものは棺の壁で隠れていて見えませんでしたが、「長いな…」と思わずつぶやくほどのキスを終えるとようやく彼が棺から体を離します。

そして顔をあげてこちらを見た彼の口には、なんと彼女の口紅がべっとり!

 

さすがにこの瞬間、それまで父親の様子を窺うようにして見守っていた子供たちが大爆笑。

私も笑いをこらえながら、そっと彼にティッシュを手渡し「口紅が付いていますよ」と小声でアドバイス。

慌ててティッシュで口を拭いた彼も、そのあと一緒に大笑いしました。

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喪主の挨拶中に入れ歯がポロリ

喪主の挨拶は誰でも緊張するものです。

しかもどのような挨拶をすればよいかわからないという喪主も多いので、葬儀社では挨拶の例文を準備しています。

でも中には何も見ずに自分の言葉で直接お礼の挨拶をしたいという人もいます。

このような時にはいつもの謝辞よりも3分ほど長めに時間をとるようにします。

 

これは挨拶をしている最中に感極まって言葉が出なくなってしまったり、テンションが上がっていろいろなことを話し出すことがよくあるからです。

思わずびっくりした出来事に遭遇したのもそのパターンでした。

 

この時の喪主はかつて議員を務めたこともある人だったので、「これは演説並みに長いな」と思い通常5分以内で終わると計算するところを「最大10分」と読んでいたのです。

予想通り喪主の挨拶は、冒頭からかなりのものでした。

最初は「さすが元・議員!」と思わず拍手思想になるほど完璧でした。

故人のエピソードを語り始めた時も、理路整然と故人の人柄について語るので「司会者泣かせだなあ」と思ったほどです。

 

ただ後半になって「故人の想いを引き継ぐのが私の使命」といい始めたあたりからだんだんおかしくなってきます。

現役時代の選挙演説を思わせるほどの熱弁に変わり、テンションが上がっているのかだんだん声も大きく話すスピードも上がり気味に…。

そしていよいよクライマックスと思った瞬間、彼の口元から何かがスポーンと飛び出します。

 

一瞬その場で何が起きたのかよくわかりませんでした。

ただ口元を押さえ何かを探している喪主を見てそれが入れ歯であることに気が付きます。

すぐさま式場誘導員に喪主を席に誘導させ、私は挨拶用のスタンドマイクを下げるふりをして床に落ちた入れ歯をゲット。

スタンドマイクと入れ歯を持ったまま司会台に戻り、「音響の不備により挨拶が中断しましたことを深くお詫び申し上げます」とアナウンスを入れます。

 

かなり無理のあるクローズの仕方でしたが、お葬式で喪主の挨拶が終わればいよいよ出棺です。

大事な場面で笑いを起こすわけにはいきません。

しかも大勢の弔問客の前で喪主に恥をかかせることもできません。

とにかく入れ歯を握りしめたまま、私はその後も何事もなかったようにして淡々と司会を続けました。

ただ間近で入れ歯が飛び出る瞬間を見た葬儀スタッフたちが一斉に通路に飛び出し、必死になって笑いをこらえていたのは言うまでもありません。

舞台役者風の死に化粧

死に化粧は基本的に男性・女性問わず行います。

これは肌の色をよく見せるために行うものなので、男性の場合は血色がよく見える程度の薄化粧をします。

もちろん女性の場合も基本的にはナチュラルメイクにし、口紅の色は家族の希望を聞いたうえで決めます。

 

でも女性の死に化粧の場合は、家族の方から「私がやりたい」と申し出てくることもあります。

その場合は「ぜひそうしてください」といって任せるようにしています。

ただ生きている人と亡くなっている人の化粧には、ちょっとした違いがあります。

 

まず亡くなっている人は体温がないので、化粧をする場合はちょっとしたテクニックがあります。

それに目を開けることはありませんので、アイメイクは基本的にあまりしません。

ただ家族が化粧をする場合には、最終的に手直しが必要な場合のみ手伝うだけで基本的に全てお任せです。

 

この時も演劇部員だというお孫さんがおばあちゃんのために化粧をすることになりました。

化粧品も全て自前のものを準備していたので、私は何かあった時に対応できるように少し離れたところで待機していました。

30分ほどかけてすべてのメイクが終わったところで「葬儀屋さん、ちょっといいですか?」と声をかけられたのでそばに寄ってみるとそこには舞台役者のような厚化粧でフルメイクされたおばあちゃんの姿が…。

 

アイホールもグラデーションがつけられて一見するときれいに見えるのですが、残念ながらおばあちゃんの目は二度と開かないのです。

しかも紫の着物に合わせてパープル系のアイメイクを施してしまったので、どこからどう見てもホラーなのです。

しかも顔はフルメイクでも首はノーメイクなので、顔と首の色が明らかに違います。

しかも耳もノーメイクなので、見た目はお面をつけた人状態…。

 

さすがにその違和感には化粧をした彼女も何となく気が付いたようで、「これは何とかしてもらわなくちゃ」ということで私に声をかけてきたのです。

本当はホラーになっているアイメイクも手直しした方がよかったのですが、一生懸命化粧をしていたのを見ていただけにさすがにそこはスルーしました。

 

そのかわり一番気になっていた首と耳に顔と同じように化粧をするようにアドバイスします。

そして血色がよく見えるようにチークをのせる位置を少しだけ変えます。

でも首と耳にもメイクをしたことで、お面をつけた状態は解消。

さらに体温がないせいで口紅が伸びずにうまく塗れていなかった口元を直し手直し終了です。

 

このようなケースは意外とよくあるのです。

でも亡くなった人に直接触れることが出来るのはお葬式の中でも限られています。

だから死に化粧をしたいという家族がいれば、出来るだけお任せしています。

 

ただもしも同じようにあなたも大切な人の死に化粧をしたいというのであれば、専門スタッフに「最後に手直しをお願いいますね」と伝えるのがおすすめです。

そうすればあなたが大事な人の死に化粧をすることもできますし、仕上がりに不安があったとしても「仮面をかぶった人」にはならなくて済みます。

まとめ

お葬式の現場ではビックリするような出来事はたくさんあります。

でもその一つひとつは「大切な人を自分たちの手で送りたい」という想いがあるからこそ起こるハプニングです。

だからこそ側にいてその想いを出来るだけ形にするお手伝いをするのが、私たち葬儀スタッフの仕事なのです。

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