お葬式に参加するとなれば、やはりきちんとした喪服を準備する必要がありますよね?
でも普段身に着けるものではありませんし、きちんとした喪服はそれなりに値段も高いです。
かといって社会人ともなれば喪服着用は常識です。
ですから人によっては初めてのビジネススーツを購入するときに喪服も一緒に購入するというケースもあります。
ただ葬儀の現場にいると、「気持ちはわかるけれど残念だなぁ」と思う喪服もあります。
その時の感想から、私は40代になったのをきっかけに20代で購入した喪服を買い換えました。
そこで今回は葬儀スタッフとして現場に立つ私の視点から女性用喪服を選ぶときのポイントとおすすめを紹介します。
女性用の喪服は「人生で2回購入する」と考えるのがおすすめ
女性用の喪服といえば、定番は「ワンピースのアンサンブル」です。
これは10代後半から30代まで幅広く使えるうえに、若々しく見えるのでとても人気があります。
ただこのデザインの喪服を40代以降も着るというのはちょっと無理があります。
もともとワンピースのアンサンブルタイプは、ウエストラインを作っているのが特徴です。
このウエストのラインがあるので、膝が隠れるほどの長さのワンピースでも若々しく見えるのです。
でも40代になると体型にも変化が出てきます。
またより近い親族として式に参列する機会が増えますので、正喪服に近い肌の露出を控えた喪服を身に着けるのがマナーになります。
さらに同じブラックでも喪服の場合は「濃いブラック」であるほど上質感があるとされます。
ところが10~30代に人気の喪服では、そこまで色にこだわりがありません。
どちらかというとデザイン重視で選ぶので、色の濃さは40代以上の人が身に着ける喪服の色としてはあまり適していません。
ただし喪服を着る機会はそれほど多いわけではありません。
ですから一着持っていればその後買い替えを考える人はあまりいません。
だからなのか40代の女性の喪服姿は、ほかの年代と比べると何となく違和感があります。
40代になったら喪服は買い替えるべき
40代になると下半身やウエストのあたりが気になり始める年代です。
立っている時はそれほど目立たないのですが、イスに座った時にウエストのあたりが気になります。
ところがワンピースのアンサンブルタイプだと、ジャケットのボタンが胸元近くにある上にウエストのラインがシャープになっています。
ですから椅子に座った時にお腹周りの印象がとても気になります。
また立った時には膝が隠れるスカート丈も、椅子に座った時には膝が見える位置まで上がるのでひざ丈のストッキングだと肌とストッキングの境目がはっきり見えてしまいだらしない感じがします。
ですからこのタイミングで女性は喪服の買い替えをするのがおすすめです。
この時のポイントは「体型をカバーしてくれるデザイン」と「伸縮性のある服」を選ぶことです。
体型をカバーするデザインはやはりツーピースが良いでしょう。
くるぶしまであるスカートを選ぶことによって肌の露出を抑えることが出来ますし、椅子に座った時も美しく見えます。
またツーピースならインナーを変えればオールシーズン着まわすことが出来ますので、お葬式に参列する機会が増える年齢になっても大丈夫です。
さらに伸縮性のある服を選べば、体型に変化が出ても上手にカバーすることが出来ます。
お葬式ではイス席が多いですが、法事や会食の席では和室で行われることがまだまだ多いです。
その場合でも伸縮性があれば、長時間身に着けていても体に負担があまりありません。
20~30代は3点セットの喪服がおすすめ
20~30代でも服を買う場合も、ウエストにくびれがないワンピースを選ぶのが本当はおすすめです。
20~30代は出産を経験する時期でもあります。
妊婦だからと言って妊婦用の喪服を準備する必要はありませんが、出産を経験すると体型にも変化が出ます。
ですから10代後半から20代前半の体型と、20代後半から30代の体型は変わります。
ところがこの年齢で喪服を着る機会は、40代以降と比べても格段に少ないです。
ですからこの時期にサイズが合わないからといってその都度買い替えるのはもったいないです。
そこで体型が多少変わったとしても買い替えずに済ませるのであれば、3点セット喪服にするのがおすすめです。
これなら自由に組み合わせることが出来るので、サイズが変わったとしても上下どちらかを買い替えるだけで済みます。
ちなみに3点セットなら妊娠中に喪服が必要になった時も、妊婦用の黒のワンピースに喪服のジャケットを合わせれば問題ありません。
喪服を試着するときは「椅子に座った時の着心地」も確認する
お葬式では立ったままの状態で長時間過ごすよりも、椅子に座ったままの状態で長時間過ごすことの方が多いです。
しかも一度椅子に座ったら1時間以上そのままの姿勢を保っていなければいけないことの方が多いので、座った時の着心地も喪服では大事です。
座った時の姿も鏡でチェック
キレイな喪服姿に見えるポイントは、「椅子に座った時の姿」にあります。
特にワンピースの場合は椅子に座るとスカートのすそ位置が変わります。
膝がぎりぎり隠れる長さのワンピースだと、椅子に座った時のすそ位置はかなり上の方まで上がります。
しかも体にフィットするようなスタイルのワンピースの場合、座った時に下半身がムチムチして見えます。
見た目もみっともないですし、長時間座っているのもこれでは大変です。
ワンピースで椅子に座った時の見た目がキレイなのはフレアタイプです。
これなら座った時の着心地も気になりませんし、下半身を包み込むようにして隠してくれるので座った時の見た目の印象もキレイです。
パンツの場合はヒールの高さとバランスが大事
女性の正式な喪服はスカートなのですが、最近ではパンツスタイルの喪服も定着してきました。
ですから喪服としてパンツを合わせるのも、マナー違反ではなくなっています。
でも喪服にパンツを合わせるのであれば、喪服を着る時に合わせるヒールを持参して試着するようにしてください。
お葬式の場合、ヒールの高さも抑えるのが一般的です。
目安としては3~5cmですから、これに合わせてパンツの裾を調整する必要があります。
パンツの場合は下半身のラインが美しく見えることがポイントになりますので、ヒールとのバランスはとても大事です。
お葬式会場ではまだまだパンツスタイルの喪服は少ないですから、見た目のバランスがおかしいと式場の中で目立ってしまいます。
スッキリとした喪服姿を目指すのであれば、やはりヒールとのバランスには注意が必要です。
パンツにはフリルジャケットで女性らしい上品さを
女性喪服のパンツスタイルは、シンプルなデザインを選んでしまうとどうしても男性っぽい印象になります。
10代後半から20代後半であればそれも若々しさにつながりますが、30代以上からは女性らしさを演出することはとても大事になります。
葬儀の現場に立っていても「エレガントな着こなしだな」と思う女性はパンツスタイルでもとても美しく見えます。
その代りどんなに上質な喪服でも「少しシンプル過ぎるのでは…」と思う喪服は寂しい印象を受けます。
喪服は普段義ではないからこそ、年齢に合わせた着こなしをするのが一番です。
個性的なデザインはNGですが年齢や式場に合わせたエレガントなスタイルを目指した方が、喪服姿を見慣れている現場スタッフから見ても「キレイだな」という印象を持ちます。
まとめ
女性用喪服のおすすめをお葬式の現場スタッフの視点から紹介してみましたが参考になりましたでしょうか?
お葬式会場はフォーマルな場所ですから、それに合わせたエレガントな着こなしを意識するのは大事なポイントです。
でも長時間に及ぶお葬式ですから、1日着ていても疲れないということも大事です。
いずれにしても美しくエレガントな喪服姿はどのようなお式場に行っても恥ずかしくありません。
喪服は「見せる」ではなく「見られる」を意識すれば、自然とエレガントな着こなしが出来るようになりますよ。