お葬式の費用には様々なものがありますが、一番わかりにくく予想が立てにくいのが参列者へのおもてなしに関するものです。
中でも通夜ぶるまいと精進落としの2つは内容などの違いが分かりにくいため、担当者から勧められるままに手配してしまう人の方が多いです。
そこで今回はお葬式費用にも直接関係してくる「通夜ぶるまいと精進落とし」について、それぞれの意味や違いについて分かりやすく紹介していきます。
通夜ぶるまいと精進落としその違いとは?
通夜ぶるまいの意味と由来
通夜は大切な人と過ごす最後の夜のことを言います。
そのため通夜には「夜通し」という意味があります。
夜通し亡くなった人のそばにいるということは、現在のように医療が発達する以前から行われていた慣習です。
現代のように衣料が発達していなかった時代は死の確認をすることがとても難しく、様々なことを夜通し行うことによって「やはり死んでしまったのだ」ということを確認していました。
もちろん日本人以外でも夜通し死者に寄り添うという文化を持つ民族はいます。
例えば「夜通し死者の周りで歌を歌い踊る」ということもあります。
また「蚊帳を張って邪気に魂を奪われないように夜通し見張る」ということもあります。
いずれにしても夜通し行う死者のための振る舞いそのものが「通夜ぶるまい」の由来にあるといわれています。
精進落としの意味と由来
精進落としというのは、忌明けに行うものでした。
仏教では亡くなってから四十九日間の修行をしたうえで仏の世界にたどり着くといわれています。
しかもその間は残された家族の追善供養が修行の助けになると考えられています。
そのため遺族は肉・魚など殺生を伴う食事を避けるために精進料理で喪に服します。
そして四十九日を迎え忌明けとなったタイミングで、通常の食事へと切り替えるのです。
そのため一つの区切りとして一同が集まり精進料理を食べました。これが由来であるといわれています。
ただ現在では、お葬式や告別式が終わった後に近親者に対して遺族からのお礼の意味で食事をふるまうことを精進落としというようになっています。
精進おとしをするタイミングは地域によっても異なります。
火葬中に食事をふるまうことを精進落としとする地域もありますし、初七日法要終了後にふるまう地域もあります。
いずれにしても現在の精進落としは「遺族からの感謝の気持ち」として準備するのが一般的な意味として考えられています。
通夜ぶるまいと精進落としの料理内容の違い
通夜ぶるまいと精進落としの料理の内容は違いがあります。
通夜ぶるまいの場合は、大皿料理で料理を提供するのが一般的です。
最後の食事を共にするということそのものが故人への供養と考えるので、招待された側もよほどの事情がない限り招待を受けるというのがマナーです。
また食事も少し手を付ける程度で退席するというのがマナーなので、大皿料理を準備します。
これに対して精進落としは、基本的に「退席者がいないもの」とするので1人ひとり個別にお膳を出します。
ここでは故人を偲ぶだけでなくお互いの親睦を改めて確認する場でもありますので、近親者は参加することが一般的です。
また葬儀・火葬の後に精進落としをする場合は葬儀までにお手伝いをしていただいた方へのお礼の意味で参加していただくのが一般的なので、親族の人数よりもやや多めに準備します。
地域によっては通夜ぶるまいを簡略化するところもある
地域によっては通夜ぶるまいを簡略化する地域もあります。
お茶と茶菓子程度でもてなすことを通夜ぶるまいという場合もあります。
また宗教儀式を伴う通夜式を行わない地域では通夜ぶるまいそのものがないこともあります。
あくまでもお葬式は地域の風習が重視されますので、特殊な地域の風習がある場合は事情に詳しい方に相談しながら準備を進めていくのが望ましいでしょう。
手作りで通夜ぶるまい・精進落としを準備する場合
自宅でお葬式をするという場合は、通夜ぶるまいや精進落としを業者に頼まず家族やお手伝いの地域の女性たちによって準備することもあります。
通夜ぶるまいで出す料理とは?
通夜ぶるまいの料理は大皿料理で準備します。主に寿司、てんぷら、煮物などが定番のメニューになっています。
★とりわけやすい寿司を多めに準備する
通夜ぶるまいの料理は「少し手を付ける程度」がマナーなので、とりわけやすい寿司が人気です。
ですから準備するときも外の料理よりも多めに寿司を準備するのがおすすめです。
★煮物も意外と人気がある
煮物も寿司と同じくとりわけやすく簡単につまむことが出来るので人気があります。
多めに準備しておくと人数が増えたときでも安心です。
★てんぷらは少なめに準備しても大丈夫
てんぷらはテーブルを華やかにする料理ではありますが、一般的にはあまり手を付けません。
ただ見た目が豪華に見えますので、やはり彩りとして準備しておくとよいでしょう。
★参列者の8割程度を目安に準備するのがおすすめ
通夜式の参列者の約8割が通夜ぶるまいに参加します。
ただお腹がいっぱいになるまで食事をするということはありませんので、1人が2~3品程度食べることを想定して準備すると良いでしょう。
精進落としで出す料理は?
精進落としには「忌明けまで続けていた精進料理から通常の料理に切り替える食事」という意味があります。
そのため肉や魚などがメニューに加わります。握り寿司や刺身なども出されますし、料理には肉も使われます。
精進落としの料理の評判は参列者の評価にもつながるので、「料理の数が足りない」「品数が少ない」などはクレームのもとになります。
手作りで準備する時には余ることを想定して多めに準備しておくことがポイントです。
通夜ぶるまい・精進落としの時の喪主の挨拶は?
通夜ぶるまいでも精進落としでも、食事をふるまう前にも主として挨拶をするのが一般的です。
通夜ぶるまいの喪主の挨拶例その①
本日はお忙しい中〇〇のためにお集まりいただきありがとうございました。
皆様方がお越しいただきましたことを、亡き○○もさぞや喜んでいることと存じます。
ささやかではございますが、お食事を用意させていただいております。
お時間の許す限り、○○の思い出話をお聞かせいただければ幸いでございます。
通夜ぶるまいの喪主の挨拶礼その②
本日はお忙しいところ、○○のためにご弔問くださいまして誠にありがとうございました。
皆様方の温かいお志に○○もさぞや喜んでいることと存じます。
心ばかりではございますが、別室にてお食事を用意いたしました。
どうぞ今しばらくお付き合いいただき、亡き○○の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
なお明日の葬儀・告別式は、○○時より○○(式場名)にて執り行います。
皆様方のご都合がよろしければご参集いただければと存じます。
まことに簡単ではございますがあいさつに代えさせていただきます。
本日は誠にありがとうございました。
通夜ぶるまいを行わない場合の挨拶礼
本日はお忙しい中、○○のためにご弔問いただきありがとうございました。
皆様方のお志を、○○もさぞや喜んでいることと思います。
○○に成り代わり、心よりお礼申し上げます。
本来であればここで皆様方にお食事を用意し、○○を偲んでひと時をお過ごしいただくところなのですが、都合により準備が出来ておりません。
私どもの不行き届きで大変申し訳ありません。
なにとぞご了承くださいませ。
本日は誠にありがとうございました。
どうぞお気をつけてお帰りくださいませ。
精進落としの喪主の挨拶例その①
本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。
おかげをもちまして、無事に○○の葬儀を終えることが出来ました。
これもひとえに皆様方の温かい励ましのお言葉とお力添えのおかげでございます。
まことにささやかではございますが、別室にて酒肴をご用意いたしました。
○○の在りし日の様子や思い出話などをしながらひとときをお過ごしいただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
精進落としの喪主の挨拶礼その②
遺族を代表し一言皆様方へご挨拶申し上げます。
本日はお忙しい中、誠にありがとうございました。
おかげをもちまして○○の葬儀、告別式とも滞りなく終えることが出来ました。
皆様方のご厚情とお力添えに深く感謝するとともに、改めてお礼申し上げます。
まことにささやかではありますが、皆様方への感謝と慰労を兼ねまして酒肴の席をご用意いたしました。
○○の思い出話などをお聞かせいただきながらひとときをお過ごしいただきたいと存じます。
本日は誠にありがとうございました。
まとめ
通夜ぶるまいも精進落としも、現在では遺族から参列者への感謝の気持ちを表す場として準備されるようになっています。
料理の内容や金額なども気になるところではありますが、あくまでも「参列者へのお礼」ということを意識して準備することがポイントです。