親の終活を進めていくと、やはり「介護」の問題は避けられませんよね?
でも日本人の平均寿命が80歳を超えている今、どんな準備をすればよいのか気になる人も多いはずです。
そこで今回は「親を介護難民にさせないためにどんな準備をすればよいのか」というテーマで、あなたが気になる様々なことを詳しく解説していきます。
親が介護難民とならないためには「元気なうちから準備」が大切
介護業界では数年前から「2025年問題」と呼ばれていることがあります。
これは介護を必要とする人数が2025年に約700万人に達することに原因があります。
「2025年なんてまだまだ先の話じゃないか…」と思うかもしれません。
でもすでに現時点で介護を希望しているのに受けることが出来ない「介護難民」が増えていることをご存知でしょうか?
介護難民が増え続けている原因は、単に介護を必要とする人数が増えているというだけではありません。
介護サービスを行う上での社会保障費が圧倒的に足りていないことも原因の一つですし、介護を担う人材が不足していることも原因となっています。
つまり介護難民が増えている原因は一つだけではないということなのです。
・介護率がアップするのは80代
健康志向の高まりもあり、現代社会のシニアはかつての同じ年代のシニアと比べても健康面でも気力面でも充実しています。
そのため65歳以上を高齢者としているものの、「高齢者=介護が必要な年齢」という表現は合わなくなっています。
ただ80代になると介護率が急に上がります。
特に女性の介護率は70代と80代で一気に変わります。
そのため親の老後を支える子供としても「80代からは介護が必要になる」と覚悟しておく必要があります。
・老人ホームの入所待機者数はすでに50万人を突破している
老人ホームには様々な種類がありますが、その中でも人気があるのが「特別養護老人ホーム(特養ホーム)」です。
ただし人気がるということは「入所希望者も多い」ということです。
そのことを示すように特別養護老人ホームの入所希望者は多く、待機者数だけでもすでに50万人を超えています。
2025年に介護を必要とする人数がピークを達するといわれているだけに「待機者数50万人」が今後さらに増えることは必至です。
・最も多い介護期間は10~15年未満
これから親の介護を考えなければいけない側から見れば、「一体どれくらいの期間介護にあたる必要があるのか?」という疑問もあるはずです。
もちろん介護レベルも個人差がありますが、全体的にみると「10~15年未満」と答える人が多い傾向にあります。
・親の介護にかかる費用はどれくらい?
介護にかかる期間が10~15年未満とすると、1か月あたりにかかる介護の費用から「介護にかかる総費用」を予測することが出来ます。
介護にかかる費用は介護者の状態によっても変わってきます。
介護状態を分ける目安となるのが「要介護度」であり、大きく分けると「要支援」と「要介護」の2つになります。
最も軽度なものを「要支援1」といい、最も重度なものを「要介護5」とします。
要介護度は全部で7段階あり、それぞれの段階で介護保険料の支給限度基準額が変わってきます。
そのため通常介護費用を考える場合は、自治体から支給される「介護保険料」と老後の蓄えから支払う「自己負担分」で考えます。
実際に自己負担する費用の平均が10~15万円となっているので、介護期間が10~15年とみると1200~1800万円かかると考えることが出来ます。
・介護施設にはさまざまなバリエーションがある
介護施設にはさまざまなバリエーションがあります。
人気があるのは「特別養護老人ホーム(特養ホーム)」ですが、それ以外にも「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」「グループホーム」などがあります。
★最も安いのは特別療養老人ホーム
入居時の費用も毎月の利用料金も安いのは特別療養老人ホームです。
入所するには「要介護者であること」が条件となっているものの、利用料金が安いことから入所希望者が多いです。
★入居時の費用が最も高くなる可能性があるのが介護付き有料老人ホーム
入所に関する条件がないのが介護付き有料老人ホームです。
施設によっても入居時の費用に違いがありますが、場合によっては数千万円かかる施設もあります。
★要支援者から利用できて比較的料金が安いのはグループホーム
入所の要件が「要支援者または要介護者」と比較的ハードルが低く、入居時の費用や月々の利用料金も10~30万円と比較的安いのがグループホームです。
・施設を利用するのか在宅で介護するのか、あらかじめ決めておく必要がある
親の介護をするということは、想像以上に大変なことです。
すべてを自分一人で抱え込んでしまっても、10~15年といわれる長い介護期間を乗り切ることは難しいです。
とはいえ親の方から「ホームよりも住み慣れた自宅で暮らしたい」という希望が出ればやはりその希望をかなえてあげたいと思うのが子供としての本音ですよね?
その場合は「在宅でも利用が出来るサービスがある」ということを知っておくことが大切です。
在宅介護は、介護ホームに入所させるよりはるかに肉体的・精神的に負担がかかります。
だからこそその負担を少しでも減らすための介護サービスがあるのです。
例えば「デイサービスやショートステイなどを併用しながら在宅介護をする」というのも一つの方法です。
訪問介護やお泊りデイサービスなどもありますので、「ピンポイントで介護の手伝いをしてほしい」という場合にも対応してもらうことが出来ます。
親の介護資金は親の貯蓄状況も確認しながら計画
平均して10~15年にわたって介護が必要になることを考えれば、親の介護資金を子供の貯蓄だけ賄うということは現実的にかなり厳しいです。
すべてを子供だけで抱え込んでしまうことが、親の介護をする上で一番避けなければいけないことです。
ですから親の介護資金について考える時も、「親の貯蓄状況を確認しながら進めていく」のがベターです。
その上で「親の老後の希望」「子供として支援できる限度額」「介護環境」などを総合的に考えてみましょう。
「いつかその時が来た時に考えよう」では遅いですが、「少しずつ準備していく」であればまだまだ選択できる幅があります。
在宅介護を希望するなら知っておきたいサービス
自宅で親の介護をしようと考えているのであれば、いざとなったときに利用すると便利なサービスがあります。
・小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護は、一か所で「訪問介護」「デイサービス」「ショートステイ」を行う事業所の施設のことです。
1つの事業所がこれらの介護サービスを提供しているので、状態や希望に合わせて自由にサービスを組み合わせることが出来るのが魅力です。
利用料金も要介護1であれば月額1万円程度で利用が出来ます。
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
ヘルパーや看護師が定期的に自宅を訪問してくれるサービスです。
利用料金は、要介護1で月額6000円が目安になります。
・お泊りデイサービス
通常デイサービスを利用している場所で宿泊することが出来るサービスです。
利用料金は施設や介護度によっても違いがありますが、1泊数千円程度が料金の目安になります。
まとめ
親の終活を考えるうえで「親の介護」は避けて通ることが出来ません。
しかもこれから介護サービスが受けられない介護難民がさらに問題となるわけですから、「明日は我が身」という気持ちで準備しておかなければ大変なことになります。
親の終活は何かと悩みも多いですが、一番大切なことは「自分一人で頑張りすぎないこと」。
すべてを自分一人で抱え込んでしまうと、支えるあなたの心と体が壊れてしまいます。
「不安に思ったときには素直に周りに相談する」。
これも子供として親の終活をする上でとても大切なことですよ。