喪主としてお葬式の責任者になると、お葬式のすべての決定権が喪主にゆだねられます。
もちろん初めてのことばかりですので周りからのアドバイスに頼ることもありますが、それでも最終的な決定権は喪主にしかありません。
ですからどのような決定を喪主であるあなたがしたとしても、家族や親族としては「喪主が決めたことだから」と最終的に受け入れます。
でも「その言葉がどれだけ大きな意味を持っているのかを誰よりも知っている人がいる」ということをあなたは知っているでしょうか?
そうです!それが「お葬式の打ち合わせ担当者」です。
お葬式の打ち合わせ担当者は、「どんなお葬式にするのか」について喪主と打ち合わせをするのが仕事です。
どのようなお葬式にするにしても、すべてにおいてお金が関係してきます。
だからものすごく嫌味な言い方をすれば「お葬式の打ち合わせ担当者=お葬式のお金の話をする人」といえます。
もちろん葬儀の打ち合わせ担当者だって、喪主であるあなたがそのようなイメージで向き合ってくることは十分承知しています。
だからこそいろいろな営業トークを使ってあなたの心を担当者側に引き寄せようとします。
ただしその営業トークの中には注意しなければいけない言葉もあります。
しかもその言葉は喪主であるあなたの心に響く言葉なので、注意しているつもりなのにいつの間にか相手の手のひらの上で転がされていることも…。
そこで今回は喪主としてお葬式の打ち合わせに挑む前に知っておきたい「打ち合わせ担当者の注意すべき○○な言葉」を紹介していきます。
葬儀担当者であれば必ず使う「秘密の言葉」がある
お葬式の打ち合わせをする担当者は、「葬儀費用の見積もり」を決めるのが仕事です。
嫌味な言い方をすれば「一円でも高く葬儀費用の見積もりを設定したい」のが本音です。
高い葬儀を受注するということは、会社としての利益にもつながります。
でも打ち合わせを担当するスタッフにとって、正直なところ「会社の利益」はあまり意識していません。
そもそも葬儀社に働いたとしても「歩合制」で給料が決まるということはないのです。
ですから高い葬儀を受注しても安い葬儀を受注しても、月給に大きな差が出ることはあまりないのです。
では高い葬儀を受注してくることが打ち合わせ担当者にとってどんなメリットとなるのでしょうか?
それは「担当者としてのプライド」です。
葬儀の打ち合わせ担当者は、葬儀社で働くスタッフの中でもほんの一握りしかいません。
なぜなら「打ち合わせ担当者は最初に依頼者である家族と接触するから」です。
喪主として葬儀社に依頼する場合、初めからその葬儀社のことをよく知っているという人はあまりいません。
どちらかというと「病院から紹介される」「親族から紹介される」「病院の待合室にあるタウンページを見て、自宅から近い葬儀社を依頼する」などではないでしょうか?
つまり喪主が葬儀社を選んだとしても、最初からどんな葬儀社なのかイメージを持っていることはほとんどないのです。
だからこそ最初に会う葬儀担当者のイメージは「葬儀社のイメージ」であるとともに初めてどんな葬儀社に依頼したのかを知る場でもあるのです。
そのことは実際に葬儀の打ち合わせを担当するスタッフも依頼を受けた葬儀社も十分わかっています。
ですから「経験豊かで対応が柔らかいスタッフ」「見た目だけでも安心
感があるスタッフ」「人当たりの良いスタッフ」が打ち合わせを担当します。
ただそれだけが打ち合わせ担当者になるポイントではありません。
何しろ「売り上げを上げてこその打ち合わせ担当者」なのですから、営業能力の高いスタッフであることも求められます。
この2つの要素を会社に認められたほんの一部のスタッフだけが、葬儀の打ち合わせを任せてもらえるのです。
だからこそ打ち合わせ担当者はその期待に応えるために、一円でも高く葬儀費用の見積もりを取ってくるのです。
同じ打ち合わせスタッフといっても、シビアな世界ですから皆がライバルです。
正直言えば歩合制でなくても売り上げのノルマはあります。
達成金が出る場合もありますが、出なかったとしても達成すれば社内で高く評価されます。
それこそが打ち合わせ担当者にとってのモチベーションにつながり、結果として「一円でも高く!」という意識につながるのです。
・打ち合わせ担当者が必ず使う秘密の言葉
裏事情であるとはいえお葬式の打ち合わせを担当するスタッフの本音が見えてきたところで、もう一つの裏事情をお話ししましょう。
葬儀の打ち合わせを担当するスタッフであれば、必ず一度は使う「秘密の言葉」があります。
これは「困った時」「強く攻めたい時」「喪主が判断に悩んでいる時」に使います。
それが「大切な家族のお葬式ですから」というセリフです。
これはいろいろな使い方が出来ます。
たとえば葬儀の内容が全く分からず何に対しても判断が出来ない喪主に対応する場合には、「あなたの大切な家族のお葬式なのですから、喪主としてあなたが決めることに私は全力でサポートしますよ」と使ったりします。
こうすると誰にも頼れず心細くて壊れてしまいそうな喪主の心が、一気に葬儀担当者の方へ向きます。
ここまでくれば、あとはもう担当者のペースです。
さらに「何かあった時でも私が側にいて対応しますから大丈夫ですよ」と後付けすればOK。
これで打ち合わせはほぼ担当者の思い通りに進んで行きます。
さらに「ここは売り上げをもっと高く取りたい!」という場合には、「大切な家族のお葬式ですから、せめてこの地域での一般的なお葬式のランクにしてみてはいかがですか?」と攻めるのも常套句です。
そもそもここでいる「同じランクのお葬式」なんてものは、正直言ってありません。
打ち合わせ担当者が「最低ラインこの価格以上のプランを選んでもらいたい」というものを「一般的なお葬式」と表現しているだけです。
つまりこの言葉を出すことによって、「一般的」といって提案された価格以上の商品から選ぶように無言のプレッシャーをかけているのです。
さらに追い打ちをかけるように「大切な家族のお葬式」という言葉を使うのですから、喪主であるあなたの心がその言葉に反応しないわけがありません。
「一般的な例では…」には気を付けろ!
お葬式は非日常の出来事です。
しかもデリケートな問題を多く含んでいますから、ほかの人のお葬式と比べることもできません。
そうはいっても喪主として様々な打ち合わせに立ち会う時に、「本当にこの内容でよいのだろうか?」という不安な気持ちも出てきます。
その時につい口にしてしまうのが「一般的にはどうなのでしょうか?」というセリフです。
実はこのセリフを喪主であるあなたが口にするのを、打ち合わせの担当者は喉から手が出るほど欲しがっているのです。
「一般的にはどうなのか?」と喪主がきいてくるということは、「葬儀の内容について全く分からない人」ということがわかります。
しかもお葬式は立て続いて年に何度もおこることではありません。
ですから多少トラブルがあったとしても大きなトラブルに発展しない限り葬儀社側としてはまったく気になりません。
そんな葬儀社のスタンスがありますから「一般的なお葬式」という提案には必ず「葬儀社が考える」という前置きが付いています。
喪主側からすれば「一般的なお葬式=地域で見られる一般的なお葬式」ですが、葬儀社側では「一般的なお葬式=葬儀社が理想とする一般的なお葬式」となります。
これは大きな違いです。
しかもこの言葉に乗せられて決めてしまうと、葬儀費用も大変なことになります。
ですから喪主であるのならこのセリフだけは口にしないようにしましょう。
さらにこのようなセリフを担当者から聞かされたら、「これは半分、嘘だな」と思って聞いておくのが大切です。
「決めるのは喪主様ですから」というプレッシャーに負けるな!
喪主は葬儀を行う上での責任者となります。
ですからどのような打ち合わせに関しても、最終的に喪主の判断が迫られます。
ただこれは思っている以上に大きなストレスになります。
内容によっては「これくらいなら喪主でなくても家族が対応できるでしょう?」と思うようなこともるでしょう。
ただし葬儀の打ち合わせ担当者は「喪主にプレッシャーをかける」という方法で高い葬儀プランを契約に結び付けることもあります。
この場合の対処法は「葬儀担当者からのプレッシャーになんか負けるな!」です。
葬儀の施工責任者であったとしても、喪主であるあなたは家族の中でも最も血縁関係の近い人です。
悲しみの真っただ中にあるだけに、正確な判断が出来ないこともあります。
この場合は喪主であるあなたの方から「この件については家族の○○に相談してくれ。○○が決めたことは喪主の判断と考えてもらって構わないから」と打ち合わせ担当者に言う方法もあります。
このようにして話の矛先を少しの間あなた以外の人に向けさせることによって、あなたはほんの少しだけ冷静になる時間が持てます。
余裕が出来たタイミングを見計らって再び打ち合わせに参加すれば、打ち合わせ担当者のペースに乗せられることなく葬儀費用の見積もりを出してもらうことが出来るようになります。
まとめ
お葬式の打ち合わせ担当者にもいろいろな事情があるのはわかっていただけたと思います。
ただ費用が「高い」と感じる時は、金額ではなく内容に納得できていない時です。
内容に納得できるかどうかは、葬儀の打ち合わせの主導権を喪主であるあなたが握ることです。
これさえ意識しておけば、最終的にあなたが納得できる見積もりが出来ます。
ただし葬儀の打ち合わせ担当者は、多くの葬儀現場に立ち会ってきた経験からあなたに対してアドバイスをします。
もちろん話の中には嘘ではない話もたくさんあります。
でもその見極めはとても難しいです。
ですから少しでも不安な場合は、第三者として公平に両者の言い分を判断できる人を打ち合わせに同席させてください。
こうすればあなたも安心して相談することが出来ますし、打ち合わせ担当者も「これはダメでしょ?」と思うような営業はしてきません。